この記事に興味のある方は救急救命士であり大学院への進学を考えている。または、すでに進学済みの方と思います。今回は大学院(修士課程)進学後の年間スケジュール(M1)を月別に徹底解説します。忙しい時期はとことん忙しいのが大学院です。謎につつまれた大学院生活の年間スケジュールをご紹介します。
そもそも大学院とはなんでしょうか。大学院は学部(4年間)の次に進学する場所で、その中でも、修士課程(2年)と博士課程(3年)に分けられています。修士課程では研究の方法や専門科目などの基礎的な内容を学びますが、博士課程では自立した研究者になるためにすべての研究工程を1人で完遂させます。また、修士課程の修了要件としては、必要単位の取得と学内の論文審査に合格すればよいですが、博士課程の場合は話しが違ってきます。博士課程の修了要件としては研究科によって規定は異なりますが、一定の単位に加えて、原著論文3編以上など新規性のある研究内容とその実績が必要になってきます。大学院を修了すると修士課程では修士の学位が、博士課程では、博士の学位が授与されます。大学院修士課程進学者の修了率は90%を超えるものの、博士課程の修了率は分野にもよりますが、30%~50%程度とも言われています。医学などの自然科学系よりも文系の博士修了の方が難易度が高いとされています。今回はそんな大学院の修士課程の2年間のスケジュールをご紹介いたします。是非参考にしてみてください。
※修士1年のことをM1、修士2年のことをM2と記載します。修士はMasterなのでその頭文字を取ってM1、M2と一般的に呼ばれています。一方、博士課程は、Doctorなので、D1やD2、D3と表現されます。
【修士1年編】救急救命士博士修了者が大学院進学後の年間スケジュールを徹底解説
修士1年生(M1)
〇 7月~8月(利益相反・倫理申請・期末試験について)
〇 9月~3月(データ収集・第1回中間発表について)
以下、別の記事でまとめています。
修士2年生(M2)
〇 4月~7月(データ解析)
〇 8月~12月(論文執筆)
〇 1月~2月(最終発表・進路)
M1 4月~6月(研究計画・先行文献調査・統計解析の勉強・研究室ゼミについて)
忙しいレベル:かなり忙しい
M1の4月~6月は研究計画の作成がメインになります。研究計画作成には3つの重要なことがあります。1つは、先行文献の調査。2つ目は、統計解析方法の勉強、3つ目は、研究室のゼミへの参加です。
先行文献を調査する目的としては、自分の研究テーマの立ち位置を知るために行います。つまり、今まで何が分かっていて、何が分かっていないのか。そして、何を新しく発見しようとするのかを明らかにしておく必要があるからです。この先行文献の調査をおろそかにしてしまうと、最後の論文発表会で教授から「この研究やる意味ある?」と160km/hのド直球ストレートが投げ込まれる可能性が高くなりますので注意が必要です。(先行論文と同じ研究を2回やってもしょうがないですからね。)話は戻りますが、入学早々研究計画書を作成するために、毎日論文を読む必要があるということです。
2つ目は統計解析方法の勉強です。研究計画書は研究が始まる前に研究のプロトコール、研究デザイン、解析方法などを事前に決めておく必要があります。先行文献の調査をするのにも統計の知識が多少必要になってきます。所属する研究室のDoctor studentや指導教授に教えてもらいながら進めるとよいでしょう。(放任主義な指導教授では難しい)
3つ目は、研究室で行われるゼミへの参加です。このゼミでは、論文の抄読会や研究の進捗報告、この時期であれば、研究計画のブラッシュアップなどが行われます。基本的には毎週行われるので抄読会と研究計画の準備に必死になります。それに加えて講義もありますので入学後早々忙しくなるのでひとつ目の山場がすぐにやってきます。(後々この山は大したことがないと思うようになります。)
筆者は、大学院修士課程の7月ころに研究計画は終わりました、講義に研究計画、なれない大学院生活でしたが、何とか乗り切りました。今となっては3日で終わる作業でした(笑)。そのころは大変なんですね。つまり教授レベルになると修士課程のすべての研究工程は論文完成まで1週間程度で終わる能力があるということです。
M1 7月~8月(利益相反・倫理申請・期末試験について)
忙しいレベル:普通
この時期は、研究の倫理申請と利益相反の申告の2点が課題になります。書類を作成して大学に提出してひたすら待つのみです。ハンドブックに沿って作成すれば問題ありません。
しかし、大学院生活は研究だけではありません。講義も終盤を迎え期末試験が待っています。専門科目は筆記もあればレポート提出などに追われているころです。大学生に休む暇はありません。
M1 9月~3月(データ収集・第1回中間発表について)
忙しいレベル:人による(実験系では超多忙)
1年間も半分を終えたころから解析するためのデータ収集が始まります。自分で計画した研究計画書にのっとり、対象データを集めていきます。自分の所属の消防署や病院等でデータを収集するのは比較的にスムーズにできますが、その他の消防や病院と連携すると1.5倍程度時間がかかりますので余裕を持ったスケジューリングが必要になります。
筆者の修士研究は後方視的に消防本部の救急データを遡ったたので問題なかったですが、
前向き研究としてデータを改めて取得するとなると時間が一層厳しくなります。
データ収集に関しては奥が深いので別の記事で紹介したいと思います。
まとめ
別の記事でM2の研究スケジュールを紹介いたします。謎に包まれた大学院生の生活ですが、多忙であることは間違いありません。平日、休日関係なく研究が頭から離れない状況になります。リフレッシュしても頭のどこかにもやもやが。そんな2年間をご希望の方は是非大学院までお越しください。圧倒的な成長が見込めます。
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